東洋獣医学-ツボマッサージ


 今回は大きな話から。宇宙のチリが集まって地球という惑星が出来ておよそ45億年、最初の生命が誕生して約38億年がたちました(ちなみにこの宇宙の年齢は140億歳)。われわれ人類はおよそ400万年前に進化の過程で生まれたそうです。これら地球の歩みを一年に換算してみましょう。地球が出来たのが1月1日午前零時で今は大晦日の夜12時。生命誕生が2月末で、人類創生は12月31日の午後5時にあたります。つまりわずか7時間の間に、人類は思想を作り科学を発展させ、繁栄を続けています。しかしながら今もなお、時間を移動して過去や未来には行けませんし、不老不死は不可能だし、東洋獣医学の分野においては「ツボ」や「経絡」の存在を証明するには至っておりません(ようやくここで、話が繋がりましたね。以上、今月の豆知識コーナーでした)。

 さて前回までは東洋獣医学の基礎理論を順に解説してまいりましたが難解すぎて読まれる方もお疲れでしょう(一番疲れているのはもしかしてこのワタクシ?)。今回は理論解説はお休みして、東洋獣医学が家庭でワンコに貢献できる「ツボマッサージ」のノウハウを中心に話を進めて参りたいと思います。

1.ツボマッサージの利点

 ツボマッサージはワタクシが治療で用いる鍼治療に比べると効果は劣るものの、多くの優れた点があります。ざっとあげてみると、

・専門知識を学ばなくても誰でもできます。

・家庭でできる、と謳うだけあっていつでもどこでもできます。薬のような副作用の心配もありません。特殊な道具も必要なし。

・タダでできます(これが一番重要かな)

2.ツボマッサージの方法

 ツボマッサージの方法にはいろんな流儀がありますが、大きく二つに分けてみます。

①目的別にツボを選んでマッサージ・・治したい症状や体の部位によってツボを選び、マッサージする方法。愛するワンコの健康増進に少しでもお役に立ちたい、ということでこれまでの連載でも役に立つツボを紹介してまいりました(みなさん、マッサージしてあげてますかあ?)

②経絡マッサージ・・経絡の流れに沿って多くのツボをいっぺんにマッサージし、ワンコを元気にしちゃおう、というマッサージ法。詳しくは別コーナーで解説いたします。

3.ツボマッサージがワンコに良いワケ

・ツボを刺激することで「気」の流れはもちろん、血液循環も良くなる。

・愛する飼い主さんに触れてもらうことでワンコの体も心もリラックスする。リラックスすることでストレス解消につながり、免疫力がアップし病気に強くなる。

どうです、マッサージしてあげたくなってきたでしょ(笑)。

4.マッサージのやり方(ツボの刺激法)

・なでる・・手のひら全体で優しくなでてあげるだけでワンコはリラックスできます。

・揉む・・指を全部使ってモミモミします。

・つまむ・・二本の指(親指と中指が力の加減がしやすい)で皮膚を痛くないようにつまみあげてツボを刺激します。

・たたく・・もちろん、痛くないようにネ。

・さする・・円を描くようにさすります。百会穴の紹介の時、時計回りにさすりましょう、と書きました。このわけを説明するには東洋獣医学の「補瀉」という考えが関わってきます。「補」は体内の足りない気を補うことで、「瀉」は余分な邪気を取り除くことです。昨今のワンコたちはストレスが多くお疲れ気味で、補を必要としている傾向にあり、補の効果がある時計回りをお薦めします。また、素粒子のエネルギー運動も宇宙天体の回転運動もドライバーでネジを締めるのも、この世界は時計回りが主流となっています。東洋獣医学の「天人合一思想」即ち自然界(大宇宙)もワンコの体(小宇宙)も全ては同じ法則でつながっている、という考えに通じているわけですよ。だからみなさん、ワンコや小さいお子さんを褒めてあげるときは頭を時計回りになでてあげましょうね、頭がよくなるかもしれませんよっ(ただし保証はいたしかねますのであしからず)。